ポーカーにおける3ベット・4ベット戦略について解説します。まず覚えておきたいことは、ポーカーにおいて「3ベット」「4ベット」は相手にプレッシャーを与え、主導権を握るための重要な戦術になるということです。本記事では、3ベットと4ベットの基本概念、目的、適切な状況、ベットサイズの調整方法などを詳しく解説し、具体的なプレイの参考になるような例を交えて説明します。
3ベットとは?
ポーカーにおいて「3ベット(Three-Bet)」とは、プリフロップで最初のレイズ(オープンレイズ)に対して、さらにリレイズ(再レイズ)を行うアクションのことを指します。
例えば
- 最初のプレイヤーが2BBのオープンレイズを行う。
- 次のプレイヤーが6BBのリレイズを行う。
この6BBのリレイズが「3ベット」となります。
「3ベット」と呼ばれる理由は、BB(ビッグブラインド)の強制ベットを1ベット目と数え、オープンレイズを2ベット目、リレイズを3回目のベットとしてカウントするためです。

3ベットの目的
3ベットの目的には、以下の3つの要素があります。
1. バリューベット(Value Bet)
強いハンド(AA、KK、QQ、AKs など)を持っている場合、相手のコールや4ベットを誘い、大きなポットを形成することが目的となります。バリュー目的の3ベットでは、相手に強いハンドを持っていることを示しながらも、相手のコールを誘うバランスが重要です。

2. ブラフとしての3ベット
相手のオープンレイズに対して、比較的弱いハンドでも3ベットを行い、相手にフォールドさせることを狙う戦略です。特に、相手のオープンレンジが広い(ルースなプレイヤー)場合、ブラフ3ベットが有効です。
3. レンジのバランスを取る
もし強いハンド(AA、KK、QQ など)だけで3ベットを行うと、相手に「このプレイヤーの3ベット=超強いハンド」と読まれてしまいます。そのため、適度にブラフハンド(例えばスーテッドコネクターやA5sのようなハンド)を混ぜることで、相手にプレッシャーを与え、3ベットレンジのバランスを取ることが重要です。
3ベットに適したシチュエーション
3ベットはどのような状況で行うべきでしょうか?以下のような状況では、3ベットが特に有効になります。
1. ポジションが有利な場合

特にボタン(BTN)やカットオフ(CO)といったレイトポジションでの3ベットは有効です。ポジションが有利であれば、相手のアクションを見ながらプレイできるため、ポストフロップでも有利に立ち回ることができます。
2. 相手が広いレンジでオープンしている場合
相手がルースなプレイヤー(多くのハンドでオープンレイズする傾向がある)であれば、3ベットをすることでフォールドを誘うことができます。特に、COやBTNから広いレンジでオープンするプレイヤーに対しては、積極的な3ベットが有効です。
3. 相手がフォールドしやすい傾向にある場合
相手がタイトなプレイヤー(慎重にプレイするプレイヤー)である場合、3ベットを行うことでフォールドを引き出しやすくなります。特に、3ベットに対して頻繁にフォールドする相手には、ブラフ3ベットが効果的です。
4. スタックが深く、ポストフロップでプレーしやすい状況
スタックサイズが深い場合(100BB以上)、ポストフロップでのプレーが重要になります。ポジションが有利であれば、3ベットでプレッシャーをかけつつ、ポストフロップでも主導権を持ってプレイできます。
具体例
シチュエーション
- 相手がカットオフ(CO)から2.5BBのオープンレイズ。
- あなたはボタン(BTN)で「♠A, ♠K」を持っている。
この場合、ボタン(BTN)から7.5BBで3ベットを行うことで、相手にプレッシャーを与えることができます。
理由
- 「♠A, ♠K」は強いバリューハンドのため、相手のコールを誘いつつ、フォールドを狙うことも可能。
- ボタンのポジションが有利であり、ポストフロップでアクションをコントロールしやすい。
- COのオープンレンジは比較的広いため、3ベットの成功率が高い。
このように、3ベットを行うことで、相手のオープンレイズに対して優位に立ち、ポットをコントロールしながら有利にゲームを進めることができます。
4ベットとは?
4ベット(Four-Bet)とは、3ベットに対してさらにリレイズを行うアクションのことを指します。ポーカーにおいてベットの回数を数える際、ビッグブラインド(BB)のコールを1ベット目、オープンレイズを2ベット目、3ベットを3ベット目とカウントするため、4回目のベットが4ベットとなります。
4ベットの例
- UTGのプレイヤーが2.5BBでオープンレイズ。
- ボタン(BTN)のプレイヤーが8BBで3ベット。
- ビッグブラインド(BB)のプレイヤーが20BBでリレイズ。
このBBのリレイズ(20BB)が「4ベット」となります。
4ベットの目的
4ベットにはいくつかの目的があります。
1. バリューベット
最も一般的な4ベットの目的は、強いハンドでさらなるバリュー(利益)を取ることです。AA、KK、QQ、AKs などのプレミアムハンドを持っている場合、相手がコールすることで大きなポットを形成することができます。
例: あなたのハンド:♠A, ♦A
- 相手がミドルポジション(MP)から3BBでオープン。
- ボタンのプレイヤーが9BBで3ベット。
- あなたがビッグブラインド(BB)にいる場合、22BBで4ベットを行い、相手にプレッシャーをかける。
このようにプレミアムハンドで4ベットを行うことで、相手の弱いハンドをフォールドさせたり、より多くのチップを獲得する機会を増やします。

2. ブラフ4ベット
4ベットはバリューベットだけでなく、ブラフとしても使用できます。特に相手が広いレンジで3ベットしている場合、4ベットを行うことでフォールドを誘い、チップを獲得することができます。
例: あなたのハンド:♣A, ♠5(スーテッドエースなど)
- 相手がカットオフ(CO)から3BBでオープン。
- ボタン(BTN)が9BBで3ベット。
- あなたがスモールブラインド(SB)から20BBで4ベットを実行。
この場合、相手の3ベットが広いレンジで行われている場合は、相手のフォールドを誘う可能性が高くなります。ただし、相手の傾向をよく分析することが重要です。
3. ポジションを利用したプレッシャー

ポジションが有利な状況で4ベットを行うことで、相手のプレイをコントロールしやすくなります。特に、ボタン(BTN)やカットオフ(CO)からの4ベットは強いプレッシャーを与えることができます。
例: あなたのハンド:♣Q, ♦Q
- 相手がアーリーポジション(EP)から3BBでオープン。
- ハイジャック(HJ)のプレイヤーが9BBで3ベット。
- あなたがボタン(BTN)から22BBで4ベットを実行。
このように、ポジションを活かすことで相手にプレッシャーを与え、より多くの情報を得ることができます。
4ベットに適したシチュエーション
1. 相手の3ベットレンジが広い場合
相手がアグレッシブで広いレンジで3ベットしている場合、4ベットを行うことでフォールドを誘うことができます。特に、軽い3ベット(ライト3ベット)を多用するプレイヤーには有効です。
2. バリューハンドを持っている場合
AA、KK、QQ、AKs などのプレミアムハンドを持っている場合、4ベットを行うことで相手からのさらなるコールを引き出し、大きなポットを形成することができます。
3. 相手がタイトで、4ベットに対してフォールドしやすい場合
相手のスタイルによっては、4ベットをされるとフォールドしやすいプレイヤーもいます。そのような相手には、ブラフ4ベットが特に有効になります。
4ベットの適切なサイズ
4ベットのサイズは、3ベットの約2.2倍~2.8倍が一般的です。
目安
- 相手の3ベットが8BBの場合 → 4ベットサイズは18~22BB。
- 相手の3ベットが10BBの場合 → 4ベットサイズは22~28BB。
適切なサイズを選ぶことで、相手に適切なプレッシャーを与えることができます。
4ベット戦略の注意点
1. 相手のプレイスタイルを分析する
相手がどのようなプレイスタイルなのかをしっかりと分析しましょう。例えば、タイトなプレイヤーにはバリュー重視で、ルースなプレイヤーにはブラフ4ベットを活用すると良いでしょう。

2. ポジションを意識する
ポジションの有利さはポーカーにおいて重要です。特にレイトポジション(CO、BTN)からの4ベットは、成功しやすい傾向があります。

3. バリューベットとブラフのバランスを取る
4ベットを行う際には、バリューとブラフのバランスを取ることが大切です。例えば、プレミアムハンドだけで4ベットしていると、相手に簡単に読まれてしまいます。適度にブラフを織り交ぜることで、戦略的なプレイが可能になります。
4. スタックサイズを考慮する
ショートスタック(30BB以下)の場合、4ベットをするとほぼオールインになってしまうため、慎重に判断する必要があります。
3ベット・4ベットの適切なサイズ
ポーカーにおいて、3ベットや4ベットのサイズ設定は極めて重要です。適切なサイズを選択することで、相手にプレッシャーを与えつつ、最適な期待値を確保できます。ここでは、一般的なサイズの目安と、それをどのように調整すべきかについて解説します。
3ベットのサイズ
3ベットのサイズは、相手のオープンレイズ(最初のレイズ)の 2.5~3.5倍 が一般的です。このサイズにする理由は、以下の点にあります。
- 相手に適切なプレッシャーを与える。
- ポストフロップで適切なスタック・ポット比(SPR)を維持する。
- レンジのバランスを取る(大きすぎるとブラフを混ぜにくくなる)。
具体例
- 相手が 2.5BB でオープンレイズ → あなたの3ベット: 7.5BB
- 相手が 3BB でオープンレイズ → あなたの3ベット: 9BB
- 相手が 4BB でオープンレイズ → あなたの3ベット: 12BB
4ベットのサイズ
4ベットのサイズは、相手の3ベットサイズの 2.2~2.8倍 が理想的です。
4ベットサイズが大きすぎると、相手に容易にフォールドされるか、逆に強いハンドでのみコールされやすくなります。一方で、小さすぎると、相手に安くコールされ、ポストフロップで難しい状況に陥る可能性があります。
具体例
- 相手が 9BB で3ベット → あなたの4ベット: 22BB
- 相手が 10BB で3ベット → あなたの4ベット: 24BB
相手のプレイスタイルや状況に応じた調整
上記のベットサイズは一般的な基準ですが、実際のゲームでは状況に応じて調整が必要です。
ルースなプレイヤー(広いレンジでレイズする相手)
- ブラフ3ベットを増やし、フォールドを誘う。
- 4ベットに対してもブラフを適度に混ぜる。
タイトなプレイヤー(強いハンドでしかレイズしない相手)
- バリュー3ベットを優先し、ブラフ3ベットは減らす。
- 4ベットに対しても慎重に対応し、オーバープレイを避ける。
ショートスタック(スタックが浅い状況)
- 3ベットや4ベットの選択肢が限られる。
- オールイン(プッシュ) が戦略的に有効になる場面も。
3ベット・4ベット戦略の注意点
1. 相手のプレイスタイルを分析する
相手のプレイスタイルを考慮し、適切な3ベット・4ベットの頻度を調整することが重要です。
- ルースなプレイヤーには積極的なブラフ3ベット
- タイトなプレイヤーにはバリュー3ベット中心

2. ポジションを意識する
ポーカーにおいてポジションは極めて重要です。特に、レイトポジション(カットオフやボタン)からの3ベット・4ベットは成功しやすい ため、積極的に狙いましょう。

3. バリューベットとブラフのバランスを取る
相手に読まれないよう、バリューハンドだけでなく適度にブラフを混ぜる必要があります。特に ポジションがある場合はブラフ3ベットを多めに し、相手にプレッシャーをかけましょう。

4. 適切なスタックサイズで行う
スタックサイズによって3ベット・4ベットの選択肢は変わります。
ディープスタック(100BB以上)
- 標準的なサイズの3ベット・4ベットが有効。
- ポストフロップのプレーを意識したレンジ構築が重要。
ミドルスタック(40~80BB)
- 3ベット・4ベットの頻度を減らし、より慎重にプレー。
ショートスタック(40BB以下)
- 3ベット・4ベットはオールインを前提に。
- 迷ったら プッシュ or フォールド戦略 を採用。
まとめ
3ベット・4ベットはポーカーにおける重要なアクションの一つであり、適切なサイズを選択することが成功の鍵となります。相手のプレイスタイル、ポジション、スタックサイズを考慮しながら、最適なベットサイズと頻度を調整していきましょう。
実践のポイント
- 3ベットはオープンレイズの 2.5~3.5倍
- 4ベットは3ベットサイズの 2.2~2.8倍
- ルースな相手にはブラフ3ベット多め、タイトな相手にはバリュー3ベット優先
- ポジションがある場合は積極的に3ベット・4ベットを活用
- スタックサイズを考慮して戦略を調整
これらを意識しながらプレーすることで、より強いポーカープレイヤーを目指していきましょう。