「毎回まともなハンドが来ない…」「チップが減る一方…」そんな悩みを抱えているポーカー初心者の方にこそ知ってほしいのが、「スチール戦略」です。
スチールとは、プリフロップで相手のフォールドを狙ってブラインドを奪う戦略のこと。たとえハンドが強くなくても、ポジションと相手の傾向を理解することで利益を積み重ねることができるのです。
この記事では、スチールの基本的な考え方から、ポジション別の実践方法、成功率を上げるためのヒントまで、具体的に解説します。スチール戦略を身につけて、よりアグレッシブかつ賢くポーカーを戦いましょう。
スチール戦略とは?基本の考え方
スチールとは、プリフロップで相手がフォールドしやすい状況を狙ってレイズし、ブラインド(SBとBB)を獲得するプレイです。特に、ハンドがあまり良くないときでも、ポジションと相手の性格を活かしてチップを稼ぐ方法として重宝されています。
スチールのターゲットは、基本的に「レイトポジション(カットオフやボタン)」からのオープンレイズで、まだ誰も参加していない状況が理想です。

なぜスチールが重要なのか?
ポーカーは「待つゲーム」ではありません。参加率が低すぎると、ブラインドで徐々にチップを削られていきます。そこで活きてくるのがスチール戦略です。
- ポットを増やさずにチップを稼げる
- 相手にプレッシャーをかけられる
- イメージ戦略としても有効(アグレッシブな印象を植え付ける)
こうした利点を活かせば、ハンドを待たずとも収支をプラスにすることが可能になります。
スチールに適したポジションとハンドレンジ
スチールは基本的に、ボタン(BTN)やカットオフ(CO)からのプレイが主流です。このポジションでは後ろに残るプレイヤーが少なく、成功率が高いためです。
以下は、ポジション別のスチール適性と推奨ハンドレンジの目安です。
ポジション | 推奨ハンドレンジの例 | コメント |
BTN | A2~A9、K7~K9、Q8~Q9、スーテッドコネクターなど | 最もスチールに適した位置 |
CO | A5~AT、K9~KQ、88~、スーテッドワンギャップ | BTNよりやや慎重に |
HJ | A8~AJ、KJ~KQ、99~、スーテッドブロードウェイ | 相手の反撃を警戒しつつ時々 |
ただし、ハンドレンジは固定ではなく、相手の傾向によって柔軟に調整することが大切です。

スチール成功率を上げるための4つの戦略ポイント
1. 相手のフォールド率をチェックする
スチールを成功させるうえで、最も重要な要素のひとつが相手のブラインドディフェンス率を把握することです。これは「相手がSBやBBでどの程度の頻度でフォールドしてくれるか」を示すデータで、HUD(ヘッズアップディスプレイ)などを使って確認できます。
例えば、ブラインドを守る頻度が20~30%と低いプレイヤーはタイトな傾向があり、スチール対象として理想的です。逆に、50%を超えるようなルースなプレイヤーに対しては、スチールの成功率が下がるため、より強いハンドレンジで臨むか、スチールを控えることも検討すべきです。
ポイント
- タイトな相手には積極的にスチールを仕掛ける
- ルースな相手にはバリューレンジを広げて対応
- HUDが使えない場合は、相手の傾向を数ハンドで観察するだけでも判断材料になる

2. レイズサイズは2.2~2.5BBが基本
スチールの際のオープンレイズサイズは、リスクとリターンのバランスが鍵です。特にトーナメントではスタック量が限られるため、2.2BB~2.5BB程度の小さめなレイズが最適とされています。
大きなレイズをしてしまうと、万が一スリーベットを返された場合のリスクが高くなります。また、スチール目的のレイズはあくまで「相手にフォールドさせるためのプレッシャー」を与える行為なので、少ないリスクで最大の効果を狙う必要があります。
サイズの調整例
- 深いスタック(100BB以上):2.5BB前後
- 中間スタック(30~60BB):2.2BB~2.4BB
- ショートスタック(20BB以下):2BB~ミニレイズ程度
3. スチールと見せかけたバリューベットを混ぜる(バランス戦略)
ポーカーで成功するには、「読まれないプレイ」が不可欠です。スチールばかり狙っていると、相手に「この人は弱いハンドでもレイズしてくる」と見抜かれてしまい、スリーベットやコールで返される頻度が増えます。
そこで重要なのが、バリューハンド(例:AJs、KQs、TT以上など)もスチールレンジに含めること。これにより、相手に「このレイズは強いかも」と迷わせる効果が生まれ、スチールの成功率そのものも向上します。
実践例
- BTNからAJsでレイズ → 実際はバリューだが、スチールに見える
- COからKTsでスチール → フォールドされればOK、コールされてもプレイ可能

4. スチールがバレたと感じたら、一時的に自重する
スチールを連発すると、当然ながら相手もその意図に気づき始めます。特に同じテーブルで長時間プレイしていると、「このプレイヤー、またレイズしてきたな」と印象が固定されるため、フォールド率が下がりスチール成功率が落ちていきます。
このような状況では、一時的にスチールの頻度を下げて**「バランスを取り直す」**のが効果的です。また、バリューレイズに切り替えることで、スリーベットに対してもしっかり戦える状態を作っておくことが大切です。
スチール戦略とブラフ戦略との違いとは?
スチールはしばしば「プリフロップにおけるブラフ」と誤解されがちですが、実際には異なる目的と戦術に基づいたプレイです。
✔ ブラフの特徴
- ポストフロップでの勝負(リバーでのブラフなどが代表的)
- ハンドの強さでは勝てない場合に、相手を降ろして勝つ
- 高度な読みと状況判断が必要
✔ スチールの特徴
- プリフロップで完結する
- 相手がまだ参加していない(未行動)状況を狙う
- 実際には強いハンドである必要がなく、**「誰もいなければ勝ち」**という前提のもとに動いている
つまり、スチールは「リスクを抑えたチップ獲得戦略」であり、無謀なギャンブルではありません。情報とポジションの優位性を最大限に活かした、きわめて論理的なプレイといえます。

まとめ
スチールは、ポーカーで勝ちを積み重ねるための極めて重要な戦略です。ただし、やみくもに狙うのではなく、「ポジション・相手の傾向・ベットサイズ」といった要素を意識して実行することで、成功率が劇的にアップします。
毎回強いハンドを待つ必要はありません。賢く、戦略的にチップを獲得するスチール戦略を身につけて、ポーカーの収支を改善していきましょう。