C-Bet(コンティニュエーションベット)は、ポーカーにおいて非常に強力な武器です。プリフロップでレイズを打ったあと、フロップでも継続してアグレッシブにプレッシャーをかけることで、相手にフォールドさせたり、ポットをコントロールしたりすることが可能になります。
この記事では、基本編から一歩進んで、ボードのテクスチャや相手のレンジを読みながらC-Betの打ち方を最適化する方法を詳しく解説します。勝てるC-Betの裏には、論理的な判断と戦略的意図があるのです。
C-Betとは何か(簡潔に復習)
C-Betとは、プリフロップでレイズしたプレイヤーが、フロップでも引き続きベットを打つ行為のことです。このベットは相手に強い手を持っていると印象づけ、フォールドを誘うブラフにも、実際の強いハンドでのバリューベットにもなり得ます。

C-Betを打つべきかを決める3つの要素
1. ボードテクスチャ
C-Betの成功率に大きく関わるのが、フロップの「ボードテクスチャ」です。
- ドライボード(例:♠A, ♦7, ♣2)
→ 相手が何もヒットしていない可能性が高く、C-Betのブラフが成功しやすい。 - ウェットボード(例:♥9, ♠8, ♥7)
→ ドローが多く、C-Betは慎重に。相手が粘る可能性が高い。
2. 相手のレンジとスタッツ
HUD(ヘッズアップディスプレイ)を使っている場合は、「フロップフォールド率」や「WTSD(ショウダウンまで行く率)」をチェック。
- フロップで頻繁にフォールドする相手にはブラフC-Betが有効。
- タイトでパッシブな相手には小さめのバリューC-BetでOK。
- ルースでアグレッシブな相手には、ブラフを控えてチェックレンジを強化。

3. あなたのイメージ
こちらのプレイスタイルも相手に影響します。
- C-Bet率が高すぎるとブラフが見破られやすくなります。
- C-Betとチェックのバランスを保つことで、相手に読まれにくいプレイヤーになります。
ベットサイズをどう決めるか?
- ブラフC-Bet:1/3~1/2ポット(相手のフォールドを狙うだけなら安くて良い)
- バリューC-Bet:1/2~2/3ポット(引き出せるバリューを最大化)
ボードのウェットさが高いほど、やや大きめのベットが好まれます。

バリューとブラフの最適なバランスとは?
GTO(ゲーム理論最適戦略)では、フロップC-Bet時のバリュー:ブラフ比をだいたい2:1~3:1にするのが適正とされています。つまり、3つのバリューハンドに対して1つのブラフを混ぜることで、相手にとってフォールドが難しくなります。
実戦的なシナリオとC-Bet判断例
シナリオ①:ドライボードでのワンヒット
- ボード:♦K, ♣8, ♠3
- ハンド:♣A, ♦Q(ミス)
- 対戦相手:TAG(タイトアグレッシブ)
相手はKヒットがなければ降りる可能性が高い。小さめのC-Bet(1/3ポット)でブラフを試みる価値あり。
シナリオ②:ミドルペア+ドローのボード
- ボード:♥T, ♠9, ♥7
- ハンド:♣J, ♣T(トップペア+ガットショット)
- 対戦相手:LAG(ルースアグレッシブ)
相手はこのボードでコールやレイズもしてくるので、大きめのバリューC-Bet(2/3ポット)で先手を取る。
シナリオ③:レインボーかつ低ボード
- ボード:♣6, ♦3, ♠2
- ハンド:♥Q, ♥J(完全なミス)
- 対戦相手:Unknown
このタイプのボードは相手がヒットしていないことも多い。状況次第では1/2ポットでC-Betしてみる価値あり。

GTOバランス:C-Betにおけるバリューとブラフの割合チャート
GTO(ゲーム理論最適戦略)では、ボードテクスチャやスタックサイズ、ポジションによってC-Bet時のバリューとブラフの比率が大きく異なります。以下は、代表的なフロップでのバランス例です(BTN vs BB、スタック100BB、1/2ポットサイズでのC-Betを想定)。
ボード例 | バリューハンド割合 | ブラフ割合 | C-Bet全体頻度 | コメント |
♠A, ♦7, ♣2(ドライ) | 約 70% | 約 30% | 約 80% | ブラフ成功率が高くC-Bet頻度も高め |
♥K, ♥Q, ♣T(ウェット) | 約 50% | 約 50% | 約 45% | 相手のコーリングレンジも強く、C-Betの精度が問われる |
♣8, ♠6, ♣5(ミドルコネクト) | 約 60% | 約 40% | 約 65% | セミブラフが多く含まれる傾向 |
♠Q, ♦3, ♣3(ローペア+ブランク) | 約 80% | 約 20% | 約 85% | ブラフが少なく、主にバリューで押し切る |
なぜGTOにこだわるのか?
C-Betを感覚や「なんとなく」で打ってしまうと、相手に exploitable(付け入る隙)を与えてしまいます。GTO的バランスを意識することで、相手がフォールドしすぎても、コールしすぎても、利益が取れる構造を作ることが可能です。つまり「読まれにくく、対応しづらいプレイヤー」になる近道でもあります。
実戦的ボード別のC-Bet例(ポジション:ボタン、相手:ビッグブラインド)
ボード①:♣A, ♠8, ♦3(ドライ・ハイカード)
- 自分のハンド:♠K, ♠Q(ノーヒット)
- アクション:1/3ポットC-Bet(ブラフ)
- 理由:このボードはBTN側がAヒットを多く含むレンジのため、BBはプレッシャーを感じやすく、フォールドを取りやすい。
ボード②:♠J, ♠T, ♣9(ウェット・コネクティッド)
- 自分のハンド:♦A, ♦Q(ガットショット+オーバー2枚)
- アクション:1/2~2/3ポットC-Bet(セミブラフ)
- 理由:ドローの含まれたボードではチェックバックも一案だが、強力なドローはベットで押す方がGTO的には利益的。相手のレンジも強いが自分のナッツ率も高い。
ボード③:♦Q, ♠Q, ♣5(ペア+ブランク)
- 自分のハンド:♣A, ♠5(ミドルペア)
- アクション:1/3ポットC-Bet(バリュー+プロテクション)
- 理由:相手が何も持っていない可能性が高いボード。A-highや2枚のブロードウェイはプレッシャーに弱く、降ろしやすい。
まとめ
C-Betは、ボード・相手の傾向・あなたのイメージという3つの要素が絡み合って成立する複雑な戦術です。
- C-Betの打ち方は相手・ボード・ハンドによって変化すべき
- GTOバランスを知ることで「なぜ打つのか?」に裏付けが生まれる
- C-Betの頻度とサイズの最適化は、相手のプレイスタイルに対して大きな武器になる
- 実戦ではGTOを完全再現するよりも、バランス感覚を持ちつつ exploit(搾取)を狙うことが重要
無意識に毎回打つのではなく、「なぜそのC-Betが利益を生むのか?」を常に考えることで、実戦での勝率が飛躍的に向上します。