オンラインポーカーのHUD(ヘッズアップディスプレイ)でよく見かけるスタッツのひとつに「アグレッションファクター(AF)」があります。これは、あるプレイヤーがどれだけ積極的にベットやレイズを仕掛けているかを示す指標で、AFを見ることで相手のプレイスタイルやレンジの広さを推測できます。
この記事では、AFの意味や計算方法、目安の数値、さらに実戦での活用方法について、中級者にも役立つ具体例とともに詳しく解説していきます。
アグレッションファクター(AF)とは?
オンラインポーカーやHUD(ヘッズアップディスプレイ)を使った環境で、プレイヤーのアグレッシブさを測る数値として頻繁に登場するのが「AF(アグレッションファクター)」です。AFは、プレイヤーがどれだけベット・レイズを行い、どれだけコールを控えているかを数値化したもので、スタイルの分析に極めて有効な指標です。
計算式
AF =(ベット数 + レイズ数) ÷ コール数
参考例
- ベット回数:10回
- レイズ回数:5回
- コール回数:5回
→ AF = (10 + 5) ÷ 5 = 3.0
AFが高ければ高いほど、そのプレイヤーは「ベットやレイズを多用するアグレッシブなスタイル」であり、逆に低ければ「コール主体のパッシブ寄りなプレイヤー」と判断できます。

アグレッションファクターの目安と分類
AFの数値は、以下のようにプレイスタイルを読み解く基準になります。
AF値 | プレイスタイル | 傾向 |
0.5 以下 | 非常にパッシブ | ほぼコール、レイズ少なめ |
0.5~1.5 | パッシブ寄り | コール多めでベット少なめ |
1.5~3.0 | バランス型 | ブラフとバリューのバランスが良い |
3.0~4.5 | アグレッシブ | C-Bet・リスチール多め、ブラフ傾向強め |
4.5 以上 | 超アグレッシブ | レイズ主導、ブラフ率高、バリューベットの頻度低め |

注意点:
- チェックはAFに含まれません。そのため「チェック→レイズ」などのラインを多用するプレイヤーは、実際よりもAFが高く表示される傾向があります。
- コール回数が少ないプレイヤーはAFが高騰しやすいため、単に数値だけで判断するのではなく、VPIP(参加率)やPFR(プリフロップレイズ率)と併せて判断するのが賢明です。
実戦でのAF活用法
AFは、単なる数値ではなく「相手の意図を読むツール」として活用することで、勝率アップに直結します。
1. 相手のAFでブラフの可能性を見抜く
- AFが高いプレイヤー(例:AF 3.5以上)
→ ターンやリバーのベットはブラフである可能性が高い
→ 弱いレンジでのコールやスナップフォールドも一つの選択肢 - AFが低いプレイヤー(例:AF 1.0以下)
→ ベット=バリューハンドの可能性が非常に高い
→ 軽いトップペアやミドルペアではフォールドを検討すべき
2. 自分のAFをチェックしてスタイルを改善
AFは自分自身のスタイルを客観視するのにも最適です。
- AFが高すぎる場合(4.5以上)
→ ブラフやC-Betの多用により「リスチール」「ヒーローコール」されやすくなる
→ バリューベットの頻度とのバランス調整が必要 - AFが低すぎる場合(1.0以下)
→ 「コーリングステーション」としてマークされ、強く打たれる
→ レンジのバランスとベットの主導権を見直すべきタイミング
理想の目安は AF 2.0~3.0前後。
この範囲であれば、バリューとブラフ、アグレッションとパッシブさのバランスが取れた健全なスタイルと言えます。

まとめ
アグレッションファクター(AF)は「読まれる」だけでなく「読む」ための武器です。プレイヤーの傾向を数値化するだけでなく、戦術の軌道修正や相手の心理を読み解く上でも非常に優れた指標です。
活用のポイントをおさらいすると以下の通りです。
- 相手のAFが高ければ、リバーのブラフに注意
- 相手のAFが低ければ、ベット=強さと見るのが安全
- 自分のAFを客観的に分析し、アグレッションの「質」を見直す
- AF単体ではなく、VPIP・PFR・WTSD(ショーダウン率)などと合わせて読み解くのが鉄則
AFを「スタッツとして見る」だけでなく「相手の感情と癖を読むレンズ」として活用できれば、ワンランク上のポーカープレイヤーに近づけます。