ポーカーを学び始めた初心者の多くが「3ベットっていつすればいいの?」「どのハンドで3ベットすべきか分からない」「3ベットされたらどう対応すればいい?」といった悩みを抱えています。3ベット(リレイズ)は、ポーカーの基本戦術でありながら、初心者には非常に理解しにくい概念の一つです。
実は、正しい3ベットレンジを理解することで、ポーカーの勝率は劇的に向上します。本記事では、ポーカー初心者でも今日から実践できる3ベットの基本概念から、具体的なハンドレンジ、ポジション別戦略まで、プロが実際に使用している技術を分かりやすく解説していきます。
この記事を読むことで、あなたも自信を持って3ベットを活用し、より戦略的なポーカープレイヤーになることができるでしょう。
3ベットとは?基本概念を完全理解
3ベット(3-bet)とは、既にレイズされたポットに対してさらにレイズすることを指します。具体的な流れを見てみましょう。
アクションの流れ:
- ベット:最初のプレイヤーがブラインド以上の金額をベット
- 2ベット(レイズ):次のプレイヤーがレイズ
- 3ベット(リレイズ):さらに次のプレイヤーがリレイズ
例えば、ビッグブラインドが$2のゲームで:
- プレイヤーAが$6にレイズ(2ベット)
- プレイヤーBが$18にリレイズ(3ベット)
- この時のプレイヤーBの行動が「3ベット」です
3ベットの目的と効果
1. バリュー(価値)を得る
強いハンド(AA、KK、QQ、AKなど)で3ベットすることで、相手の弱いハンドからチップを獲得します。これを「バリュー3ベット」と呼びます。
2. ブラフとしての活用
比較的弱いハンドでも戦略的に3ベットし、相手をフォールドさせることでポットを獲得します。これを「ブラフ3ベット」と呼びます。
3. ポットコントロール
相手の続行を困難にし、主導権を握ることでゲームを有利に進めることができます。

初心者向け基本3ベットレンジ
プレミアムハンド(バリュー3ベット)
必ず3ベットすべきハンド:
- AA, KK, QQ
- AKs(スーテッド), AKo(オフスート)
これらのハンドは、どのポジションからでも積極的に3ベットしましょう。相手がどんなハンドを持っていても、長期的には利益を生み出します。
強いハンド(状況的3ベット)
条件によって3ベットを検討:
- JJ, TT
- AQs, AQo
- KQs
これらのハンドは、相手のタイプやポジション、スタックサイズによって3ベットするかコールするかを判断します。
ブラフ3ベット候補
初心者にお勧めのブラフハンド:
- A5s, A4s, A3s, A2s(スーテッドエース)
- K9s, Q9s, J9s(スーテッドコネクター)
- 76s, 65s(スーテッドコネクター)
これらのハンドは、フォールドされれば即座に利益となり、コールされてもドロー(役を完成させる可能性)があるため、3ベットブラフに適しています。

ポジション別3ベット戦略
アーリーポジション(UTG、UTG+1)
アーリーポジションからの3ベットは、最も慎重に行う必要があります。
推奨レンジ:
- バリュー:AA, KK, QQ, AKs, AKo
- ブラフ:A5s, A4s(最小限)
アーリーポジションでは、後ろに多くのプレイヤーが控えているため、強いハンドのみで3ベットしましょう。
ミドルポジション(MP、MP+1)
推奨レンジ:
- バリュー:AA-JJ, AKs-AQs, AKo-AQo
- ブラフ:A5s-A2s, K9s, Q9s
ミドルポジションでは、若干レンジを広げることができますが、依然として慎重なアプローチが必要です。
レイトポジション(CO、BTN)
推奨レンジ:
- バリュー:AA-99, AKs-ATs, AKo-AJo, KQs
- ブラフ:A9s-A2s, K9s-K7s, Q9s-Q8s, J9s-J8s, T9s, 98s, 87s, 76s, 65s
レイトポジションでは最も広いレンジで3ベットすることができます。ポジションの優位性を活かして、アグレッシブにプレイしましょう。

相手のタイプ別3ベット戦略
タイトなプレイヤーへの対策
タイトなプレイヤー(レンジが狭い)に対しては、ブラフ3ベットの頻度を上げることができます。
戦略ポイント:
- ブラフ3ベットの成功率が高い
- バリューハンドでも大きくベットサイズを上げられる
- 4ベット(リリレイズ)頻度が低いため、3ベット後の主導権を握りやすい
ルースなプレイヤーへの対策
ルースなプレイヤー(レンジが広い)に対しては、バリュー重視の戦略が効果的です。
戦略ポイント:
- ブラフ3ベットの頻度を下げる
- より強いハンドでのみ3ベットする
- ベットサイズを大きくして、ペイオフを最大化する
アグレッシブなプレイヤーへの対策
頻繁に4ベットしてくるアグレッシブなプレイヤーには、慎重なアプローチが必要です。
戦略ポイント:
- 3ベットレンジを強いハンドに集約
- 4ベットされることを前提とした判断
- ブラフ3ベットは最小限に抑える

3ベットサイズの基本原則
標準的な3ベットサイズ
インポジション(有利なポジション):
- 相手のレイズサイズの2.5~3倍
アウトオブポジション(不利なポジション):
- 相手のレイズサイズの3~3.5倍
サイズ調整の考慮要素
- スタックサイズ:深いスタックでは大きめ、浅いスタックでは小さめ
- 相手のタイプ:タイトな相手には大きめ、ルースな相手には標準サイズ
- ポジション:アウトオブポジションでは若干大きめに
3ベット後のプレイ(フロップ以降)
コンティニュエーションベット(Cベット)
3ベットした場合、フロップでのCベット頻度は非常に重要です。
基本戦略:
- バリューハンドで3ベットした場合:積極的にCベット
- ブラフで3ベットした場合:ボードテクスチャーに応じて判断
ボードテクスチャー別対応
ドライボード(A-7-2レインボー):
- 高い頻度でCベット
- レンジの大部分でベット可能
ウェットボード(9-8-7ツートーン):
- 慎重なCベット
- 強いハンドとブラフを組み合わせて使用

3ベットに対する対応(3ベットされた時の判断)
4ベット(リリレイズ)
4ベット推奨ハンド:
- AA, KK(ほぼ必須)
- QQ, AKs(相手とポジションによって判断)
コール
コール推奨ハンド:
- JJ, TT, 99
- AQs, AQo, AJs
- 中程度のペアとスーテッドコネクター
フォールド
フォールド推奨ハンド:
- 弱いエース(A9o以下)
- 小さなペア(88以下、状況による)
- スーテッドでないコネクター
トーナメント特有の3ベット考慮事項
スタックサイズ別戦略
ディープスタック(50BB以上):
- 幅広いレンジで3ベット可能
- ポストフロップスキルが重要
ミドルスタック(20-50BB):
- 標準的な3ベット戦略
- ICMを意識した判断
ショートスタック(20BB以下):
- 3ベット≒オールインコミット
- 非常にタイトなレンジで実行
バブル期の3ベット戦略
賞金圏直前のバブル期では、他のプレイヤーの保守的な傾向を利用してブラフ3ベットの頻度を上げることが効果的です。

よくある初心者の間違いと改善方法
間違い1:3ベットレンジが極端すぎる
問題:AAとKKでしか3ベットしない、または逆に広すぎるレンジで3ベットしてしまう
改善方法:バランスの取れたレンジを構築し、バリューとブラフの適切な比率を維持する
間違い2:ポジションを考慮しない3ベット
問題:ポジションに関係なく同じレンジで3ベットしてしまう
改善方法:各ポジションに応じた適切なレンジを学習し、実践する
間違い3:3ベット後のプランがない
問題:3ベットした後の行動計画を立てていない
改善方法:3ベット前に、4ベットされた場合やコールされた場合の対応を考えておく
実践練習方法とスキル向上のコツ
1. レンジ表の作成と暗記
各ポジションからの3ベットレンジ表を作成し、反復練習することで瞬時の判断力を身につけます。
2. ハンド履歴の分析
プレイしたハンドを振り返り、3ベット判断が正しかったかどうかを検証します。
3. トレーニングソフトの活用
PokerTracker、Hold’em Manager などのソフトウェアを使用して、統計データを分析しましょう。
4. 低レートでの実戦経験
理論を学んだら、低レートの実戦で経験を積み重ねることが重要です。

上級者への道筋
レンジバランシング
相手に読まれにくくするため、バリューハンドとブラフハンドの比率を適切に保ちます。
エクスプロイト(相手の弱点利用)
相手の癖や傾向を見抜き、それに対応した3ベット戦略を構築します。
GTO(ゲーム理論最適)戦略
数学的に最適化された戦略を学び、より高いレベルでのプレイを目指します。

まとめ
3ベット戦略は、ポーカーにおける重要な技術の一つです。初心者の方も、本記事で解説した基本原則を理解し、実践することで確実にスキルアップできます。
重要なポイントの再確認:
- 適切なレンジ選択:バリューハンドとブラフハンドのバランスを保つ
- ポジションの重要性:各ポジションに応じた戦略の使い分け
- 相手タイプへの対応:相手の特性に合わせた柔軟な戦略変更
- 継続的な学習:理論学習と実戦経験の両立
3ベットをマスターすることで、あなたのポーカーゲームは格段に向上します。最初は失敗を恐れずに、少しずつ実戦で試していくことが成長への近道です。継続的な学習と練習を通じて、より高いレベルのプレイヤーを目指してください。